※久しぶりのツアーで熱が入りかなりの長文です。ネタバレは一切ないつもりですが「楽しかったはネタバレ」と言われたこともあるので、見ないでいいなら見ないが吉。
鬼門の大阪城ホール
11/22/63というドラマをご存知だろうか。ケネディ暗殺を阻止するために、タイムリープする海外ドラマだ。歴史を変えようとすると、歴史がそれを阻もうと主人公に罠を仕掛ける。突然車が壊れる、急にお腹が痛くなる。主人公は車の予備部品を用意し、オムツを履いて暗殺を阻止しようとする。傑作ドラマだ。
私にとっての大阪城ホールはケネディだ。
遡ること約7年、私の初めての大阪城ホールはJPNツアーだ。いや、正確にいうとチケットを確保したにもかかわらず、大学院の卒業式と日程が被ってしまって、流石に断念。チケットは譲ることに。そういう時に限ってアリーナだったりする。
今回のFuture Popツアーの大阪公演は悲願の大阪城ホールだ。しかし、大阪城ホールは今回も鬼門だった。まさか台風と重なるとは。
ツアーに台風が直撃するのは今回が初めてではない。ぐるんぐるんツアーで福岡に行ったときがそうだった。急遽、飛行機を諦めて新幹線で前日入りした。5時間という長旅だったが、当日飛ばないリスクを考えたらやむを得ない判断だった。(新幹線で途中から女子ラクロス部が大量に乗車してきて、なんともなんとも)
今回はそもそも新幹線で新大阪に向かうのだから交通のリスクは少ない。大きいのは今回は開催されないというリスクだ。台風の勢力が強すぎて生命に関わるレベルであることだ。
今回のツアーは前週の長野から始まっており、ネタバレが怖い私はSNS断食をしていた。いつもなら、初日公演から全力だったが、前週に海外旅行をしてるため、流石に体力が気になり断念…歳とると休暇のための休暇を取らないとダメなのだ。なので、開催に関する情報も入ってこない。前日に公式ホームページを除くと、開催する方向で調整しているが、正式には当日の午前中に決定するという。大阪公演は土日の2days、私が参戦するのは土曜のみ。天気予報は土曜は問題なさそうだが、日曜は直撃を示唆している。究極的にはライブに行ければ、帰れなくてもいいと考えている。心配なのは、土日抱き合わせて中止になってしまうこと。
ライブ前日、ホームページによると「土曜は開催する、日曜はまだ分からない」予定だ、正式には当日の午前中に決まる。しかし、これはかなり開催の確率が高まった。
出発のとき
9月29日の朝。国内の一泊遠征なんて朝飯前、いつものチェックリストに従って荷物を詰めるだけ。テレビを見ながらさくさく進めようと、録画リストを眺めていると急にテレビの電源が落ちた。
こんなことめったにないことなのだけど、西東京の一部の地域で、停電が発生した。やはり鬼門。電車が止まったら困る。最悪タクシーで行くことも考えてすぐに家を出ることに。いつ復旧するかも分からない、通電した際に火災が起こらないようにメインブレーカーを落としてから家を出る。
最寄駅までの道中、街は暗く、信号も付いていない、交番から出たお巡りさんが車を誘導している。架線を伝わって供給されているのだろうか、駅だけは電気が使えて、モバイルSuicaで入場もできる。
電車は安全確認のために停まっているが、すぐに復旧するという。良かった、なんとか間に合う。早速イヤホンを忘れたが、チケットとクレジットカードがあれば何とかなる、急に弱気になる。
しかし、慌てて飛び出た代償は大きい。歯を磨き忘れた…なんてことだ、あれだけ、あ〜ちゃんに「歯は磨こうね」と散々言われていたのに、ましてや愛してやまない3人に会うというのに、息が臭い可能性がある。座席は当日会場で分かるシステムだが、最前に決まっている。嫌われるくらいならば、最前よりやや後方がいい。
なんてことを考えていたらもう東京駅に着いてしまった。新幹線の時間より少し早く着いた。腹ごしらえだ。いつもの黄金パターンだ。
新幹線と遠征めし
ブラッカウズ、大丸東京店。ハンバーガー弁当を買う。個人的には恵比寿の店内で食べるよりも旅のワクワクを足した新幹線車内の方が美味しいと思う。注文して15分かかるので、時間がないときは頼めない。東京駅なのになぜかSuicaで支払いができない。まさにチケットとクレジットカードがあればなんとかなるパターンだった。このタイミングで大丸のポイントカードを無理矢理作らされた。
いざ乗車、改札前の猿田彦珈琲で買ったカフェオレと。
アボカドチーズバーガー最高にうまい。
日曜中止のお知らせ
13時、公式ホームページにアナウンスが出る。
土曜開催決定、日曜中止。
ワンマンライブはじめての中止…台風が去ってこのブログを書いてる今だから分かる、外は危険だ。賢明な判断だろう。そした、土曜は決まった…良かった…試練を乗り越えたのだ。
しかしなんだろう、この落ち着かない感じは…メインブレーカーを切り忘れてないか不安になってきた。鍵をかけたか不安になるやつの電気バージョンだ。妖怪ブレーカー戻しがブレーカーを入れているような気がしてきた。鍵をかけたか不安なとき、家に戻ると大体鍵はかかっている。今回も大丈夫なはず。
これがドラマなら、ケネディ暗殺を阻止できても、大切な何かを失うパターンのストーリーは堅い。ライブに参戦できても家が燃えているかもしれない。しかし、ここで戻るわけには行かない。
kindleを開いて本を読む。読みかけの「ミレニアム3 眠れる女と教卓の騎士」だ。文庫も持っているが、重たいから電子版を買い直した。久しぶりに途中から読んでも面白い。
あっという間に新大阪に到着した。富士山を見ようといつもE列を買うのに、いつも見ていない。
ホテルは新大阪直結のホテルにしたので、さきにチェックインをしてから会場に向かうことに。今思えばここで歯を磨くチャンスがあった。
いざ会場へ
環状線なのに終点がある不思議な電車に戸惑いながらも、悲願の大阪城ホールについた。最寄の大阪城公園駅の周りには飲食店も多いし、時間を潰すには困らなそうだ。そんなことより時間がない、グッズだ。
台風のせいで、グッズが全然仕入れ出来なくて、フシギダネのTシャツしか買えない夢見たんだけど、大丈夫かな。
— すぺ (@mu_tu_) 2018年9月29日
今朝は不安な夢を見た、嫌な予感がする…大変だ…グッズの並びが大行列だ…ちょっとした山を登った。日曜開催がなくなって、グッズだけ買いに来た人もいるのかもしれない。物流の問題じゃなくて、単純に買えないかもしれない。
16時30分、開演20分前の17時40分になったら買えなくても離脱しよう。そう決めて並ぶ。
16時50分、前の女性2人組が悩み出す。「どうしよう、一曲目始まっちゃったら」「一曲目が見れなかったらライブの意味がない」同感だ。
17時、開場してしまった。続々と離脱する人が出る。どうやら現金のみのグッズ販売は中でもあるようだ。こちとら、チケットとクレジットカードだけ握りしめて来たものでね…
17時20分、離脱した人のおかげか、かなり列が進み、ついにグッズ売り場の建屋に入れた。商品サンプルが並ぶ、ワクワクする。
17時30分、建屋の中に入れたものの、進まない。本当にフシギダネのTシャツしかないのでは?
17時35分、少しだけ進んだ。仮にフシギダネのTシャツが売っていたら買う。でも緑の原色は嫌だな。落ち着いた色味のニットなら買う。
17時40分、駄目だ…売り場が見えない。どうやら今の位置から4クネクネした先にようやく売り場があるようだ…撤退だ…ネットで買おう。
気を取り直してライブだ、チケットを提示して、座席指定券をゲットする。よし、アリーナ最前列、より後方、よりさらに後方といったところだ。これなら口臭は届かない。思いは届く。
暗転、ライブが始まる。
Future Popのライブを見て死ぬ人、見ないで死ぬ人、あの世の行き先が変わるな…極悪人すら救われるであろう徳の高いライブだった…
— すぺ (@mu_tu_) 2018年9月29日
毎度のことだけど、最新のPerfumeが最高のPerfumeだった。盛り上がる曲では盛り上がり、焼き付けたい曲では息を殺して静かに見守る。
「Tokyo Girl」「無限未来」シングルがリリースされたときは正直ピンと来なかったのだけど、初めてFuture Popのアルバムに収録されている状態で聴くともの凄いしっくりきた。これらのシングル曲はアルバムバージョンではなく、オリジナルで収録されているのもあって、シングルがリリースされるときには既にアルバムがあって、それを切り出してリリースしたんじゃないかと思った。Perfumeにとって、アルバムはお品書き、ライブが料理。個人的に完成度の高いアルバムだったが故にかなりハードルが上がった公演、軽々と超えてきた。
いつにも増して仲の良さが伝わってきたのも良かった。ライブの後にTik Tokをやろうという話。
「えー、はまるかな?」
「はまるよー、だって友達ジャーン!」
以前、さまぁ〜ずがモヤさまで昼ご飯を食べていたとき、三村が自分の箸でおかずを取り、すかさず大竹が「自分の箸でやめろ」と言う。それに対して「友達じゃんよー!」って返す三村。なんで、さまぁ〜ずが好きなのか、分かった気がする。
Tik Tokがなんなのかは知らないが、アプリはダウンロードした。
そして、のっちの言葉に泣かされた。
「今このタイミングでこういう曲を書いてくれた。それは大人になった、ということだけでなく、もっと夢を見ていいんだ、と言ってくれているような気がして、自信にもなったし、ここが最終地点じゃなくていいと思えた。そんなライブが出来て嬉しい。」
人間の素晴らしさは挑戦することの素晴らしさであることをあらためて思い出させてくれる。
それを黙って聞く観客にも泣かされる。影ナレの公演前の注意に「はーーい」と答える輩ですら黙って聞いていた。
徳の高い言葉。徳を積めば、ライブに行ける。ライブに行けば徳が積める。徳の永久機関のような存在だ。
グッズはネットで良いと考えいたはずなのに、帰りに買わずにはいられなかった。よく、アイドルに貢ぐことを揶揄して「お布施」なんかというけれども、もう彼女たちは仏様なのだから、グッズを買うことは本当にお布施なんだ。
これは余談なのだけど、お客さん、どのTシャツ着ようかな?って悩む人より、どのコスメにしようかな?って悩むような綺麗なお姉さんが増えておりませんか?私はシュウウエムラ!みたいな(知らんけど)
男である自分だって、彼女達のようになりたいのだから、彼女達が綺麗になればなるほど、お客さんも綺麗になるのは自然の流れか。コスプレだってそうだ、ライブで見つけて欲しいだけじゃない。彼女達になりたいのだ。
家に帰るまでがライブ
かしゆかの「不要不急の外出はお控えください」という無機質な言葉で始まり、あ〜ちゃんの「家に帰るまでがライブ」という温度ある言葉で終わった今回の大阪公演。
私のライブは終わってない。生きて帰らなければならない。が、いつもは帰る直前に新幹線を買うけれど、流石に今回は帰りも事前に買っておいた、グッジョブ。もうすぐ22時、腹が減った、なんでも良いから食べよう。
と言って、東京でも食べられる神座にきてしまった。大阪発祥という理由でLEVEL∃のときに大阪遠征したときと食べたな…
神座のラーメン、父方のお婆ちゃんが作ったラーメンに似てるんだよな…懐かしいな…と言っても東京でまだ元気にしてるんだけど。物思いにふけっていると、LINEで不穏な連絡を貰う。
上りの新幹線も昼を目処に運休する。
???
なんということだ、あわよくば昼は大阪グルメを食べようとお昼くらいの新幹線にしてしまった。やはり大阪城ホールは鬼門だ。新幹線を早めよう。そそくさと店を出る。隣のCAPSULEのTシャツ着てるお姉さんも急いだ方がいいぞ。
みどりの窓口へ。同じような人で溢れかえっている。同じようなというのは、ライブに来たようなという意味だ。見覚えのないライブTシャツが多い、どうやらAAAとウルフルズも大阪でライブだったらしい。みなさまご苦労様です。AAAとユニバーサルスタジオ抱き合わせるの凄いですね…
自分の順番が回ってきた。指定席は7時10分を最後に全て埋まっているという、それでいい、なんならもっと早くてもいい。こちとら社畜。朝は強い。6時に起きれば楽勝だ。大阪グルメを食べようなんてスケベゴコロはとうに捨てた。
たまたま仕事だか旅行だかで京都にいる友達からツイッターで「ともに帰ろうぞ!」とリプライが。おいおい、盛大な死亡フラグを立てないでくれよ…
無事新幹線を変更し、ホテルへ。幸い駅直結のホテルだから、他の電車が遅れようが影響を受けずに新幹線に乗れる。一泊15000円と高かったが、なぜこのホテルにしたのか。虫の知らせだったのかもしれない。ホテルというかオフィスのようなエントランス。
12階がフロントで、まさか12階の客室に案内されるとはね。12階からの眺めはステキな室外機ビュー。
いつもの癖で「アレクサ、テレビをつけて」と言ってしまう。返事はない。
23時、透け透けのど変態バスルームでシャワーを浴びる。この写真、トイレからですよ。
24時、買ったアクリルバッジを開封する。通称Perfumeガチャ。ランダム全67種類…ぇぇぇええ。4回まわす。足が当たって最&高。
24時15分、買ったパンフレットを読んでニヤニヤする。
24時30分、今日は疲れた、明日は6時に起きればいい。今日の幸せを忘れずにゆっくり眠ろう。
・・・
4時30分、起きてしまった。歳をとったせいで眠れない、それよりもライブの後はアドレナリンが出てあまり眠れないことがよくある。今回もそれだ。
5時、もう一度シャワーを浴びる。
6時30分、ホテルの朝ごはんの提供が始まるが諦める。
6時50分、すでに新大阪は大賑わい。
7時10分、新幹線に乗る。
7時30分、この時間発車の新幹線は運休した。間一髪だ。
9時30分、東京駅に着く。
10時30分、私のライブは終わった。
家は燃えてない。